LPガス(プロパンガス)は、都市ガスとは異なり、各家庭ごとに供給設備が設置されているエネルギーです。
屋外にあるガス容器(ボンベ)やガスメーターを目にしたことがある方も多いでしょう。
しかし、容器からコンロや給湯器まで、どのような設備を通り、どのように安全が確保されているのかを詳しく知る機会はあまりありません。
LPガスは、単に「ボンベのガスを使っている」わけではなく、容器・調整器・配管・マイコンメーターなど、複数の設備が連携する仕組みによって供給されています。
本記事では、LPガスの供給の流れと設備の仕組み、安全対策について、わかりやすく解説します。
目次
1.LPガスはどこから家庭に届くの?
LPガス(プロパンガス)は、都市ガスのように地中のガス管から一括で供給されるのではなく、各家庭ごとに設備を設けて供給する「分散型」のエネルギーです。
LPガスは、国内の製油所や海外からの輸入を経て専用基地へ運ばれ、地域の充てん所でガス容器(ボンベ)に充てんされます。その後、販売店によって各家庭や施設へ届けられます。
各家庭へのLPガスの供給方法には、容器交換方式とバルク供給方式があります。設置条件や使用量に応じて、いずれかの方法で供給されています。
このようにLPガスは、充てんされた容器やタンクを通じて各家庭や施設へ供給され、使用されています。
2.家の外にある「ガス容器(ボンベ)」の役割

建物の屋外に設置されているガス容器(ボンベ)は、LPガスを安全に貯蔵するための設備です。設置本数や容量は、建物の規模や使用量に応じて決められます。
LPガスは、容器内では液体の状態で保管されています。圧力をかけて液化することで体積は気体の約1/250になり、効率よく貯蔵・輸送できます。
家庭用で多く使われるのは20kg容器や50kg容器です。
- ▪ 20kg容器:約10m³(気体時)
- ▪ 50kg容器:約25m³(気体時)
容量は異なりますが、使用量や設置スペースに応じて選ばれています。
液体で貯蔵、気体で供給
LPガスの主成分であるプロパンは、大気圧下で約−42℃という低い沸点を持っています。そのため日本の通常の気温環境では、容器内で液体から自然に気体へと変化(気化)し、気体となったガスが配管を通って家庭へ供給されます。LPガスは液体で効率よく貯蔵し、使用時には気体として利用するという特徴があります。
なお、工場や大規模施設などでガス使用量が非常に多い場合には、容器からの自然気化だけでは供給量が不足することがあるため、外部から熱を加えて気化を促進する「強制気化装置(ベーパライザー)」が用いられることもあります。
容器の安全を支える仕組み
ガス容器は、構造面と管理面の両方から安全性が確保されています。
安全弁(圧力逃し弁)
内部の圧力が異常に高まった場合に、自動的に圧力を逃がす仕組みです。
充てん量の管理
入れすぎによる危険を防ぐため、法律で定められた基準に基づき充てん量が管理されています。
法定の定期検査
LPガス容器は法律に基づき、一定期間ごとに耐圧検査や外観検査が義務付けられています。検査に合格した容器のみが再使用されます。
ガス容器は、LPガスを安全に保管し、家庭へ届けるための出発点となる重要な役割を担っています
3.圧力を安全に下げる「調整器」

ガス容器の中にあるLPガスは、そのまま家庭で使える状態ではありません。容器内では高い圧力がかかっているため、使用前に安全な圧力まで下げる必要があります。その役割を担うのが「調整器」です。
容器内のLPガスは、常温でおよそ0.6〜0.8MPaの圧力がかかった状態で保管されています。一方、家庭用ガス機器が安定して燃焼するための標準圧力は約2.8kPaです。つまり、容器内の圧力のおよそ200〜300分の1以下まで下げてから供給していることになります。
もし高圧のまま供給されれば、炎が不安定になったり、機器に負荷がかかったりするおそれがあります。調整器はこの圧力差を安全にコントロールする重要な機器です。
安定した炎を保つ仕組み
調整器は、ガスの使用量が変わってもできるだけ一定の圧力で供給できるよう設計されています。たとえば、コンロだけを使う場合と、給湯器と同時に使う場合では流れるガスの量が異なります。それでも炎が大きく変わらないのは、内部のダイヤフラムやばね機構によって圧力を自動調整しているためです。
複数容器が設置されている理由
屋外に容器が複数本設置されている場合は、自動切替式の調整器が接続されています。供給中の容器の残量が少なくなると、自動的に予備側へ切り替わる仕組みです。この機能により、ガスを止めることなく安定した供給が維持されています。
調整器の点検と交換
調整器は保安機器であり、経年劣化が生じます。一般的な交換目安は約8〜10年とされており、定期的な点検や計画的な更新が重要です。
小さな装置ですが、LPガス設備の中核を担う重要な役割を果たしています。
4.地中や建物内を通るガス配管のしくみ
調整器で安全な低圧に下げられたLPガスは、配管を通って建物内のコンロや給湯器へ送られます。普段目にすることはほとんどありませんが、配管もLPガス供給を支える重要な構成要素です。
屋外から屋内へつながる配管
ガス配管は、容器まわりの屋外配管、地中配管、建物内配管などの区間に分かれています。長期間にわたり安全に使用できるよう、それぞれの場所に適した材料が用いられています。
配管の種類と使い分け
LPガスの配管には、設置場所や使用環境に応じていくつかの種類があります。主に「露出部」と「埋設部」で使い分けられています。
白管(亜鉛めっき鋼管)
建物の外壁まわりや建物内など、目に見える露出部分に使用されることが多い配管です。鋼管に亜鉛めっきを施すことで防錆性を高めており、強度にも優れています。
PLV管(ポリエチレン被覆鋼管)
地中に埋設する部分で使用される配管です。鋼管の外面をポリエチレンで被覆することで、土壌中での腐食を防ぎます。耐久性に配慮された構造になっています。
PE管(ポリエチレン管)
樹脂製の管で、錆びにくく、柔軟性があるのが特長です。地盤変動や地震時の揺れに追従しやすい性質があり、埋設部で採用されることがあります。このように、配管は設置場所の環境や求められる性能に応じて適切な材料が選定されています。
地震への備え
LPガス設備では、配管自体の耐震性に加え、ガスメーター(マイコンメーター)による地震時の自動遮断機能を組み合わせることで安全性を高めています。配管の強さと、自動でガスを止める仕組み。この二重の対策により、万が一の際のリスクを抑えています。
建物内の配管
建物内では、金属管やフレキシブル管などが使用されます。機器との接続部には可とう性のある部材が使われるなど、振動やわずかなズレにも対応できる設計になっています。
配管は目に見えにくい部分ですが、LPガスを安全に届けるための「通り道」として重要な役割を担っています。
5.ガスメーター(マイコンメーター)の安全機能応

建物の外壁などに設置されているガスメーターは、使用量を計測するだけでなく、安全を見守る役割も担っています。現在主流のLPガスメーターは「マイコンメーター」と呼ばれ、さまざまな安全機能を備えています。
地震を感知すると自動で遮断
マイコンメーターには感震機能が内蔵されており、震度5相当以上の揺れを感知すると、自動的にガスを遮断します。これは、地震後に配管や機器へ異常がないか確認するための措置で、二次災害を防ぐ重要な仕組みです。
異常なガスの流れを検知
ガスホースの外れや配管の損傷などで通常より多くのガスが流れた場合にも、自動で遮断します。また、長時間ガスが流れ続けた場合にも安全装置が作動します。マイコンメーターは、日常の使用状況を監視しながら、異常があれば自動的にガスを止める保安機器です。
遠隔で見守る集中監視システム
近年では、マイコンメーターで計測されたデータを遠隔で確認できる集中監視システムの導入も進んでいます。メーターに接続された通信機器を通じてデータを送信し、異常があれば早期に把握できる仕組みです。
これにより、
- ▪ ガス使用量や残量の遠隔確認
- ▪ 異常発生時の早期対応
が可能になっています。
復帰操作について
安全装置が作動するとガスは自動的に停止します。復帰できる場合もありますが、自己判断で操作せず、販売店へ連絡して原因を確認することが大切です。
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ガスメーターは単なる計測器ではなく、LPガス設備の中核となる保安機器です。日常の安心を支える重要な役割を果たしています。
6.コンロや給湯器へ|安全に使うための仕組み
LPガスは、これまでご紹介してきた設備を通じて安全な状態で各ガス機器へ届けられます。さらに、最終的にガスを使用するコンロや給湯器にも、安全のための機能が備わっています。
コンロの安全機能
現在のガスコンロには、火が消えた際に自動でガスを止める「立ち消え安全装置」や、鍋底の温度を感知して過熱を防ぐ「Siセンサー」などが搭載されています。うっかりによる事故を防ぐための仕組みが標準装備されています。
給湯器の安全制御
給湯器も、燃焼状態を常に監視しています。不完全燃焼を検知した場合の停止機能や、異常な温度上昇を防ぐ制御機能により、安全な運転が保たれています。
LPガスは、供給設備だけでなく、実際に使用するガス機器にも安全対策が講じられています。目に見える炎の裏側では、複数の安全機能が働いています。
7.まとめ|LPガスは家庭ごとに支えられている
LPガス(プロパンガス)は、都市ガスのように一括で供給されるのではなく、各家庭ごとに設備を設けて供給される「分散型」のエネルギーです。
LPガスは、ガス容器で安全に保管され、調整器で適切な圧力に下げられたうえで、配管を通じて建物内へ届けられます。さらに、マイコンメーターがガスの状態を監視しながら、コンロや給湯器で使用されています。
このように、供給から使用に至るまでの各段階で安全対策が講じられており、複数の設備や機器が連携することで、日常の安心が支えられています。LPガスは屋外に容器が設置されていることから不安に感じられることもありますが、実際には段階的な安全管理のもとで供給されています。
仕組みを知ることで、より安心してご利用いただければ幸いです
いちたかガスワンでは、地域の皆さまに安心してLPガスをご利用いただけるよう、供給から保安管理まで一貫して対応しております。
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